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ニューフォレストへ行った話

イングランドが2度目のロックダウンに入ったのは、2020年11月5日。

やっとのことでVISAを取得し、間一髪、イギリスに引っ越した約1週間後のこと。

来て早々外出できなくなる私を哀れんでか、ロックダウン前日に、義父母がとても素敵な場所へ連れて行ってくれた。







ニューフォレストは、イングランド南東部のハンプシャーにある国立公園だ。


ニューフォレストが国立公園に指定されたのは2005年。

英国の国立公園指定とは、その地が将来の世代のために守られ、保護されることを意味する。



雨の多い季節。ぬかるみはあるものの、
きらきらした森林に癒されながら歩く。




ニューフォレストでは、たくさんのポニー(約5千頭)、ロバ(約200頭)、牛などの動物が放牧されていて、森の中ではリスなどの小さな野生動物、様々な爬虫類、5種類の鹿も生息している。


また、その豊かな環境から、100種類の鳥の繁殖地となっている。特に冬の間は、多くの珍しい鳥が訪れるそうだ。


広く美しい公園に入るのは無料で、思い思いに歩くことができるが、訪れる人はみな、それらの自然や動物、キノコなども、そのままの状態に保つ義務がある。


キノコなどの菌類は、ニューフォレストの生態系にとって不可欠なものなので、採ってはいけないことになっている。


ウェブサイトでは、ニューフォレストに生息するさまざまな菌類について写真付きで紹介されている。
New Forest National Park: Fungi


ニューフォレストの放牧地で草を食べるポニーたち。
とてもかわいく美しいが、触ってはいけない。



ポニーや豚たちは道路にも出てくるので、車の運転(特に夜)は注意が必要だ。


(歩いている豚たちは、実は「パンネージ」という重大ミッションの遂行中だったようだ。この時期には、全部で約600頭の豚が放たれ、ポニーを毒から守るため、落ちているドングリや木の実を食べて回っているのだそう。)



息をのむほど美しい古代の森


ニューフォレストの歴史は古く、1079年、ウィリアム征服王がニューフォレストを訪れたことに始まる。


彼はその地を「王室の森」と宣言し、「新しい狩猟の森」として「Nova Foresta」と名付けた。それが後に英語で「New Forest」と呼ばれるようになった由来だ。


それから約千年。

ニュー(オールドだが)フォレストは、ウィリアム王を魅了したその時とほとんど変わらない姿で、神秘的な雰囲気を保っている。


ニューフォレスト国立公園は、西ヨーロッパで最も古代の木が集中している場所だと考えられていて、約1,000本の古代樹が残されている。

ニューフォレストは、いくつもの戦争をくぐり抜け、周囲の変化を生き抜いてきた、偉大なサバイバーなのだ。


広大なヒースランド



ニューフォレストは、ヨーロッパで最も広範囲にヒースランドが残っている地域らしい(10,000ha/100㎢以上)。


「ヒースランド」という言葉に私も馴染みがなかったのだが、ヒースやヘザーと呼ばれる植物に覆われている平坦な荒地、草原、沼地など、さまざまな生息地を表すのに使われるそうだ。


イギリス南部の他の地域では減少している生き物(鳥類、無脊椎動物、爬虫類など)や、珍しい植物が、ここには多く生息しているのだそう。


義父お気に入りの木、オウシュウシラカンバ
(英名: Silver birch/ 学名: Betula pendula)



イングランドの国立公園、ニューフォレスト。

心が浄化されるような、美しい森林だった。






Manami


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